「なんで数学って勉強しないといけないんですか」
この質問、本当に何度されても答えに詰まります。今日も授業後に残っていた生徒に聞かれました。悪意のある質問ではなく、本当に不思議そうな顔をしていた。それだけに、誤魔化して答えるのが余計に憚られる。
「日常生活で役に立つから」は半分嘘だと思っている。微分積分を日常で使う機会は、ほとんどの人にとってほぼゼロです。買い物の計算ができればいい、という人は実際そうで、それを否定するのは難しい。
「論理的思考力が身につくから」も、正直なところ根拠が曖昧です。数学を学べば頭がよくなる、というエビデンスはそこまで強くないし、論理的思考が鍛えられるなら他の方法でもできるかもしれない。
結局いつも、「面白いから」と答えてしまう。これも答えになっていないかもしれない。「先生は面白いと思っているかもしれないけど、私は面白くない」という反論がすぐに成立する。でも僕にとっては本当のことなので、嘘はつきたくない。長年考えてきて、今のところこれが一番正直な答えです。
「面白いかどうか、もう少し付き合ってみてください」と付け加えるのが精一杯です。強制力のある言葉ではないけれど、これ以上のことは言えない。
その生徒は少し笑って帰っていきました。どう受け取ったかは分かりませんが、まあいいか。また聞いてきてくれることを、内心では期待しています。